今日はまたインフルエンザ菌のハナシをしましょう。
前回はインフルエンザ菌の名前の由来について述べました。
実はコイツ、すごく育ちにくいのです。
実験をするためには培地で菌を育てなければなりませんが、コイツは培養する時に二酸化炭素が必要だったり、
色んな発育因子が必要だったり、かなりめんどくさいヤツなんですね。
(例えばヘミン[Hemin]という因子。発育する時にヘミン[Hemin]を好む[phil]ことからヘモフィルスという名字の由来にもなっています。)
インフルエンザ菌はチョコレート寒天培地という培地で育てるのですが、育ちも悪く、また少し放っておくと死んで
しまうのです。
育ちにくく、死にやすい、でもヒトには悪さをする、というようなヤツです。
また「莢膜」という制服を着ているヤツもいるんですね。この制服はa~f 型まであるんですが、
特に「b」、、、極悪です。長ラン、ボンタンの完全なるヤンキースタイルを醸し出しております。
コイツは小児に侵襲性の感染症を引き起こすのです。いわゆる、「弱いものイジメ」をする、まぁまぁサイアクな
ヤツなんですよ。。。
そうしたことから、このヤンキーに対するワクチンが作られました。
これがあの有名なHib(Haemophilus influenzae type b)ワクチンなんですね。このヒブワクチンのおかげで、
ずいぶんヤンキーが駆除されました。
が、しかし、、、
近年、制服を着ない悪いヤツが蔓延り始めました。抗生物質が効かないヤツです。
いわゆる耐性菌ですね。
この20年で一気に勢力を拡げて参りました。まるでどこかの国のようです。。。
今、この耐性菌を飲み薬で治療できるのはキノロン薬のみでしょう。(ちょっと大げさに言うと)
しかし、しかし、遂にこのキノロン薬にまで耐性を示すインフルエンザ菌が出てきたのです!!
コイツを調べるのが私の研究テーマなんですね。
これまでの研究でわかったことは、、、
① 現在、このキノロン耐性インフルエンザ菌の分離頻度はまだ全体の1%ぐらい
② この1%のヤツらは遺伝子変異を2つ持っている
③ でも遺伝子変異1つの耐性予備群が15%ぐらいおり、また年々増加傾向にある
④ 耐性予備群はすぐに耐性菌(変異2つ)に変化する
でした。
その過程で色んなヤツがいることも判ってきました。例えば、耐性菌のくせに遺伝子変異を持ってないヤツです。
この辺りのことを調べてみようかなーと思い、はるばるバルセロナまでやってきた次第です♪
さぁ、これから楽しくなりそうです♪
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