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2015年11月24日火曜日

インフルエンザワクチン

今月は息子が次々と感染症に罹っていく。

手足口病、ロタウイルス?感染症、いずれも学校で流行しているらしい。

となると、次に心配なのは当然「インフルエンザ」である。

一応リレンザを持ってきているが、一人分しかない。。

となると、、、頼みの綱はやはり「ワクチン」である。

家内に子ども達も含め、そろそろ病院でワクチンを打ってくるように指示すると、、、、、家内曰く、

「ママさん情報によると、ワクチンはそのへんの薬局で売ってるらしいわよ。」とのこと。

??、ワクチンがそのへんで売ってる??薬局で買って、病院に持っていって、打ってもらえ。ということかな?

早速、近所の薬局に突撃してみると、、、、ほんまにワクチンおいてあるやん!

とりあえず、2つ購入してみた。1つ11€ほどであった。

どこで打つのか?と店員に問いただしてみると、、、

「家で自分で打ってください。おなか周りがいいですよ。」とのこと。

正直、ビビりました。

問診は? 副作用でたらどうすんやろ? ロットとか控えんでもえーんかな? など疑問が尽きない。

その旨、家内に報告すると、「同じ学校のお友達と家族のみなさんにも打ってあげて」とのこと。。

今週末、我が家はクリニックになります。注射して子どもたちに嫌われないようにお菓子を準備しておこう。

さて、そのインフォームド・コンセントも兼ねて、今回はインフルエンザワクチン(以後、ワクチン)について

専門家の端くれとして少し述べさせて頂く。


日本で働いていた時に「ワクチンを打ったから、私はインフルエンザじゃない。」、「ワクチン打ったのに罹った。」

という方がたくさん外来に来られました。また医療従事者でもそういうことを仰る方がいたんですね。

中には「今年のワクチンって全然効果ないよねー。」なんていうツワモノもいました。
(じゃあ、罹らなかった年の打ってなくても罹ってなかった可能性はどうなんでしょう?)

そもそもワクチンの効果ってなんでしょうか?インフルエンザを発症しないことでしょうか?

日本で打たれているワクチンは発症予防の目的でなく、重症化予防のために打っているんですね。

発症予防が目的であれば、生ワクチンの経鼻接種の方が効果が期待できます。

「インフルエンザに罹ったけど、熱が出なかった。」、「熱が出たけど、そんなにしんどくなかった。」

これはワクチンの効果があったとは言えないでしょうか?
(ワクチン打ってなくても熱出んかったんちゃうん?って言われそうですが)


小生たちが学童のころ、、、1980年代、ワクチンは集団接種されておりました。国が実施していたんですね。

そういえば学校で打ちまくられましたねー。注射の日、女の子の前で強がっていたのを今でも覚えております。

しかし当時、別ワクチン(MMR)の副作用やワクチンの効果に疑問を抱く声のみをマスコミが増幅致しました。

そんなときに満を持して登場したのがあの「前橋レポート」と呼ばれる報告です。

「ワクチンは効果がない」と結論付けられており、これにより学童集団接種が廃止されたとも言われております。

しかしこの「前橋レポート」、インフルエンザの診断基準や統計の手法が間違っていることでも有名なんですね。

まず、診断キットがない時代にどのようにして診断したのか? 「熱があって2日休んだり、熱がなくても3日休む」

とインフルエンザとされております。ズル休みしてもインフルエンザとされてしまうんですね。

また全体の接種率が低かったり、2回接種が検討されてなかったりと、、21世紀の常識とはかけ離れております。

まぁ国もせっかく税金使って打ってんのに、ワクチンの副作用とか効果ないモン打って虐待とか言われたら、

普通にイヤになるでしょうね。そんなわけで1994年に学童集団接種が廃止されました。問題はそのあとです。
                           (ちょうどゆとり世代に一致)

インフルエンザ脳症にかかる子ども、インフルエンザ後の肺炎で亡くなる高齢者が激増しました。。

ワクチンの効果は「打つ → 罹らない」じゃないんですね。

「打つ → 症状が軽く済む  → 周りに伝染しにくい → 流行が抑えられる」 なんです。

こういうのを「集団免疫 herd immunity」とよびます。

この集団免疫効果を得るためには全体の接種率を上げないといけません。

インフルエンザは時に凄まじいスピードで重症化し、全く治療に反応せず、極めて不幸な経過を辿ります。

自分の身内であれば、その思いは耐えきれないでしょう。

「インフルエンザワクチンは打たないで!」とか「予防接種は効果がない」などの妄言に惑わされず、

しっかり接種するヒトが増えることを願って、今回は終わりとしたい。



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集団免疫、だまされるな





2015年9月26日土曜日

Haemophilus influenzae

今日はまたインフルエンザ菌のハナシをしましょう。

前回はインフルエンザ菌の名前の由来について述べました。

実はコイツ、すごく育ちにくいのです。

実験をするためには培地で菌を育てなければなりませんが、コイツは培養する時に二酸化炭素が必要だったり、

色んな発育因子が必要だったり、かなりめんどくさいヤツなんですね。

(例えばヘミン[Hemin]という因子。発育する時にヘミン[Hemin]を好む[phil]ことからヘモフィルスという名字の由来にもなっています。)

インフルエンザ菌はチョコレート寒天培地という培地で育てるのですが、育ちも悪く、また少し放っておくと死んで

しまうのです。

育ちにくく、死にやすい、でもヒトには悪さをする、というようなヤツです。

また「莢膜」という制服を着ているヤツもいるんですね。この制服はa~f 型まであるんですが、

特に「b」、、、極悪です。長ラン、ボンタンの完全なるヤンキースタイルを醸し出しております。

コイツは小児に侵襲性の感染症を引き起こすのです。いわゆる、「弱いものイジメ」をする、まぁまぁサイアクな

ヤツなんですよ。。。

そうしたことから、このヤンキーに対するワクチンが作られました。

これがあの有名なHib(Haemophilus influenzae type b)ワクチンなんですね。このヒブワクチンのおかげで、

ずいぶんヤンキーが駆除されました。

が、しかし、、、

近年、制服を着ない悪いヤツが蔓延り始めました。抗生物質が効かないヤツです。

いわゆる耐性菌ですね。

この20年で一気に勢力を拡げて参りました。まるでどこかの国のようです。。。

今、この耐性菌を飲み薬で治療できるのはキノロン薬のみでしょう。(ちょっと大げさに言うと)

しかし、しかし、遂にこのキノロン薬にまで耐性を示すインフルエンザ菌が出てきたのです!!

コイツを調べるのが私の研究テーマなんですね。

これまでの研究でわかったことは、、、

① 現在、このキノロン耐性インフルエンザ菌の分離頻度はまだ全体の1%ぐらい

② この1%のヤツらは遺伝子変異を2つ持っている

③ でも遺伝子変異1つの耐性予備群が15%ぐらいおり、また年々増加傾向にある

④ 耐性予備群はすぐに耐性菌(変異2つ)に変化する

でした。

その過程で色んなヤツがいることも判ってきました。例えば、耐性菌のくせに遺伝子変異を持ってないヤツです。

この辺りのことを調べてみようかなーと思い、はるばるバルセロナまでやってきた次第です♪

さぁ、これから楽しくなりそうです♪



2015年9月23日水曜日

一応、医者なので、、、

僕の研究テーマであるHaemophilus influenzaeについて少しお話したいと思います。

「ヘモフィルス インフルエンザ」と呼びます。

僕たちのような健康人がかかる感染症の原因菌としてとても重要なバイ菌なんですよ。

頻度としては2番目に多いんです。まぁまぁ重要でしょ?

バイ菌の名前もヒトと同じように名字と名前に分かれます。

コイツはヘモフィルス家のインフルエンザさんってカンジです。

ん? インフルエンザって、、、あの毎年流行りまくっとる・・?? メッチャしんどいやつ?

実は違うんです。

毎年流行ってるインフルエンザはインフルエンザウイルスが原因でこっちは細菌なんですね。

実は全く違う生き物なんです。(ウイルスが生き物かどうかは別として、、)

ハナシがちょっとズレますが、

その昔、1918-19年にインフルエンザがものすごい流行しました。後に「スペインかぜ」と呼ばれる病気です。

人類の3割が感染し、世界中で約5000万人が死亡したとされています。当時、人類は第一次世界大戦を

していたんですね。その大戦で亡くなったヒトが約2000万人とされてますが、スペインかぜはその2倍以上の被害

をもたらしたわけです。一説によると、このスペインかぜが世界大戦を終わらせたとも言われています。

実はこのスペインかぜ、発端はスペインじゃなくアメリカであることがわかっています。

だったら「アメリカかぜ」やろ!、、という気がするんですが、そこはさすがアメリカ人。。

いやいや確かにアメリカから出たけど、実はアメリカのチャイナタウンからでたのよ。だから「中国かぜ」なんよ。

と反論するそうです。。。


インフルエンザの怖いところはインフルエンザ(ウイルス感染)後にバイ菌(細菌)感染症を引き起こしやすくなる

からなんですね。スペインかぜ流行時、人類はまだ抗生物質を持っていませんでした。

抗生物質とは細菌を殺す薬です。当然、ウイルスには効きません。

このスペインかぜで亡くなった方の9割はこの細菌感染症だったそうです。

当時の医学者は必死でこの原因微生物を探ります。スペインかぜ以前にも毎年冬になると同じような病気が

流行していました。インフルエンザで亡くなった方からこのインフルエンザ菌がよく分離されていたことから

「こいつが原因だ」ということになり、「インフルエンザ菌」と名付けられました。語源はラテン語で「影響」を

意味する「influenza」なんですね。本当はインフルエンザウイルスが原因だったのですが、当時ウイルスが

みえる顕微鏡はまだ発明されてなかったのです。後にインフルエンザウイルスが発見され、「実は違うやん」

ということになりましたが、その名残で今もインフルエンザ菌と呼ばれているんですね。

名字のヘモフィルスについては、、、

長くなったので今日はやめましょうねー。