2017年1月23日月曜日

Kenya ②

さて、いよいよケニアに向けて出発である。

出発2週間前からチビたちの体調管理には極めて注意を払った。

今回の遠征費のためにシャレにならん数の諭吉がすでに飛び立ってしまっているのだ。。。

出発前に風邪をこじらせ肺炎で入院、、、なんてことなれば、、、おぉ、考えただけでも鳥肌が立ってしまう。。


そんな中、12/26(月)14:00、無事に出発を迎えることができた。

トルコ航空TK1856便でイスタンブールへ。。

今回はビジネスクラスを利用したのだが、トルコ航空は2クラス制であるため、ビジネスクラスが最高位となる。


おぉ、シェフ同乗か、と思いきや、、、


そんな大した料理は出てこない

シートはフルフラットにならないショボい機材であった。

そして、イスタンブールへ到着。。

イスタンブール観光を予定していたが、前回行ったのと、テロが頻発しているため今回は止めておいた。


ジュニアスィートが1泊120€程度とおススメのホテルだ。

そして、世界最強との呼び声が高いアタテュルク空港のスターアライアンスラウンジ。

確かに造りは豪華であるが、、サービス、食べ物に関しては羽田のANAスイートラウンジの方が格上である。









2018年にオープンするという新空港に期待したい。


次はナイロビ行きTK607便であるが、ここで事件が起こったのである。

夜間、機内で寝ている時に娘が突如、左胸痛を訴え始めたのだ。。

しばらく放っておいたが、、終いに「痛い、痛い」といって泣き始めてしまった。。。。診察開始である。


意識障害なし、血圧、脈、熱、異常なさそう。呼吸はしっかりしているが、、、

KMT: 「息、しんどないか?」

娘: 「苦しい気がする。」

う~ん、どうも誘導されてるような気もするが、、、

左の上肺のあたりを痛がっているが、痛みの呼吸変動なし、肋骨の圧痛もなし。

皮膚所見も変わったところはなさそう。。打診してみたが、騒音でよく聞こえない。


まぁ、子どもやし、虚血性心疾患ではないでしょう。大動脈解離も。。位置も痛みの質も違うし。


次に肺梗塞、、、いわゆるエコノミークラス症候群ですな。。。

安静時にいきなり発症せんでしょう。。。何よりもビジネスクラスに乗っとるし、、、


航空機内で、小児に突如発症した胸痛、呼吸困難感は少々、、、状況から考えると気胸か!

鼓音ははっきりしない、胸に耳をあてて聴診したが、当然良く聞こえないのである。。

これは聴診器が要るな。聴診器ぐらい機内にあることは知っている。

早速、CAに聞いてみた。

KMT: 「I'm a doctor. My daughter has chest pain. I want to check her chest sounds. Do you have a ・・?」

恥ずかしながら、聴診器の英語名がわからないのだ。。病院では「ステート」と呼んでるヤツがいるが、、

必死のジェスチャーで伝えてみると、、、イヤホンを持ってきやがった。。。。

おまえ、この状況でイヤホン要ると思うか、おい?

KMT: 「ドクターキットを貸してください」

CA: 「ちょっと待ってください」

しばらくしても全然戻ってこないのだ。。自分が医師であることは何回も伝えている。。

再度カーテンむこうのCAのところに行ってみた。すると機長と相談しているのでもう少し待ってほしいとのこと。。

おいおい、機長に報告するのはヨシとしよう。

CA: 「急病人がいて、父親が医者らしいけど、医療セット開けていい?」

機長: 「オッケー」

通常は10秒で終わるだろう。

他に何を相談するのか?その機長がウチの娘に聴診器が必要かどうか判断できるのか?できるはずがない!

カーテンの奥を覗いてみるとCA達が必死にマニュアルを読んでいる姿がみえた、、、はぁ、何やってんねん。。

もうしばらく待ってみた。。横では娘が痛がっている。。こういう時間は長く感じるものだ。

やっとCAが出てきた。すると、なんと娘の体温を測り始めたのだ。。

KMT: 「いやいや、熱がないのは知っとる。触ったらわかるやろ?」

CA: 「マニュアルでは、、、」

ハナシにならない。。。

チーフCAを問い詰めてみた。

KMT: 「なんでドクターキットを貸してくれへんの?それや、それ。その足元に開いてる箱よ。」

CA: 「ドクターキットを開けるのはドクターの許可が要るんです。」

ここでついに温厚な小生もキレてしまった。。

KMT: 「俺は医者で、その俺が聴診器要るって言ってるやろ。それにもう開けてるやんけ。」

    「ほんで、なんで最初に体温なんや?おまえは医者か?」

と言ったところで、妻が止めにきたので小生はさがってみた。妻とCA達が何やらハナシあっている模様。

帰ってきた妻が言うには、、

ドクターキットを開けるのは医師の許可が必要とのこと、、、、だからそれは知っとるって。

どうも小生の英語力の問題ではなさそうである。もう一度カチ込んでみよう。

KMT: 「俺は医者やって」

CA: 「このボックスを開けるのは医師の許可が要る。あなたの医師ライセンスナンバーを教えて下さい」

医師のライセンスナンバー??もしかして医籍登録番号(医師免許証に記されている)のことかな?

っていうか日本人の医師で自分の医籍登録番号を覚えてるヒトっておるんかな?

KMT: 「いやいや、もう開けてるし、この状況で、今、番号が必要か?その番号は後ではあかんのか?」

CA: 「確認します」

KMT: 「それ、確認する必要あるか? おまえは日本の医師ライセンスナンバーが何桁か知ってんのか?」

そうこうしてると、、次は血圧計を持ってきやがった。。。もはやコントである。

もしかして、俺のツッコミを待っているのかな?

もう、どうしようもないぐらい能力の低いCAである。緊急時の脱出とかが必要になった際には自分でやろう。。

KMT: 「これだけじゃアカンやろ?血圧測る時は聴診器も要るって習わんかったか?」

といって、やっと聴診器を手に入れることができた!


さて、血圧はほっといて、聴診である。 呼吸音に左右差なし、エア入りも良好だ。その他、雑音もなし。

もし気胸だとしても、虚脱率は低そうだ。ひとまず安心。。

KMT: 「段々良くなってきたやろ?その痛みは怖い痛みじゃないから、がんばって寝てみなさい」

と暗示をかけたところ、その後しばらくして寝てしまった。


実は小生、これまでに機内で6回ドクターコールの経験があるのだ。そのうち3回は東京-フランクフルトであった。

迷走神経反射の中年男性2名、胃痛の中年女性、熱性痙攣の乳児、癲癇の青年、低血圧の中年男性

7回目が自分の娘になるとは、、、しかしながら、トルコ航空の対応は極めてショボかった。。


そして、ジョモ・ケニヤッタ空港に到着。起きると娘はケロッとしている。。。あの痛みは何やったねん。。

早速、入国審査へ。


賄賂要求が絶えない入国審査

何も言われず、無事にケニアに入国できた。

さて、荷物を取るか。。。

簡素な造りである到着ターミナル


おぉ、いきなり割れてるやんけ


どうしたら、こんなに激しい割れ方をするのか?

そして、送迎車に乗って、国内線専用のウィルソン空港へ。夜のナイロビ、、なかなか治安が悪そうである。。

待つこと2時間。。ウィルソン空港の出発ロビーへ。。


だ、だいじょうぶか?この空港。。



どうやらこれに乗るらしい。。


機内の様子

揺れまくりながら、無事にマサイ・マラに到着。

何もない空港。

やっとサファリが始まる。

続く。。




2017年1月19日木曜日

Kenya ①

新年あけましておめでとうございます。

やっと大殺界ど真ん中が終わり、大殺界も残すところあと1年となってまいりました。

しかしながら、2018年から前厄が始まってしまうことに関しては今回は触れずにおこう。

留学生活において、最後の正月休み。。今年はどうしようか、、、

思えば去年はアイスランドに遠征をした、、、テーマは「オーロラ」。。

我が人生において、正月に長期休暇が取れるのは定年するまでもうないんではないか、、、ならば、、、

テーマは、、、「サファリ」  行き先は、、、「ケニア」 で設定してやろうじゃないか!


生後数か月の乳児を連れてケニアでサファリ。。。アホじゃない?との声が多数聞こえてきそうだ。

事実、あるサイトでは心無いネット民どもにより「乳児を連れてアフリカって、、バカじゃない?」

との書きこみが多数なされていた。。

アフリカの草原を悠々と闊歩する動物たち、満天の星空、厳しい自然の中で生活するマサイ族、、などなど

チビたちの眼にはどう映るのだろうか、それらの光景を脳裏に焼き付けてやるのも親の使命ではないだろうか。。

さて、前置きが長くなってしまったが、、

今回我々は生後8ヵ月の乳児を含む3人のチビを連れケニア・サファリツアーを敢行したので詳細に報告する。

なお本稿により、これまで「サファリに行きたいけど、子連れでいけなかった」ご家族のアフリカ旅行に対する

敷居がさがることを願ってやまない。。。



まず、ケニアの下調べから入ろう。。。実は7月ごろから徐々に準備を始めていたのであった。

日本国民がケニアに行く際にはVISAが必要となる。

しかしながら、オンライン申請ができるため、特にビビることはない。

またケニア入国時に経由国(インドやタイ)によってはイエローカードを要求されることがあるとのこと。

日本からヨーロッパ経由で行く場合は大丈夫そうだ。となると、次は航空券を抑えなければならない。

小生はANAダイヤモンドメンバーであるため、激しいマイル数を保有している。

今回は運良く、「イスタンブール経由ナイロビまでのビジネスクラス」を4席確保することができた。


さて、サファリはどうしようか、、、ケニアにはサファリができる国立公園がいくつもある。

中でも最も多くの動物がみれるのが「マサイ・マラ国立保護区」である。

特にライオンを売りにしているらしい。サファリはここに決まりである。

せっかくアフリカにいくので、赤道直下のビーチも満喫してみたい。

東アフリカはインド洋に面しているのだが、このインド洋のビーチは凄まじいポテンシャルを有しているのだ。

モーリシャス、セーシェル、モルジブが御三家と思われる。。

アフリカ地域ではタンザニアのザンジバルが最も有名であろうか。。

当初、ザンジバルをターゲットに据えたが、タンザニアからケニアに戻る際にイエローカードが必要となるのだ。

ちなみにイエローカードとは、黄熱ワクチン(黄熱病予防)接種を証明した書類である。

ザンジバルに行きたくて、黄熱ワクチンを受けようと色々と調べてみたが、、、

家内・・・授乳中のため接種不可

長男・・・卵アレルギーのため接種不可

次男・・・生後9か月未満のため接種不可

なんと、5人中3人も接種不可となってしまった。。。

いっその事、ケニアをやめてタンザニア(サファリはセレンゲティ国立公園)にしようかと思ったが、、

どうしてもタンザニア行きのチケットが取れないのであった。。

仕方なく、ザンジバルはあきらめ、ビーチはケニアのマリンディに決定した。


次にホテルである。

マサイ・マラには日本人が経営しているロッジが存在する。その名も、、「ムパタ・サファリ・クラブ」

緊急事態の際には日本人が常駐している宿の方が対応が早いであろうと予想されるため、ここに決定である。

マリンディは一応緊急事態に備え、マリンディ総合病院のそばにある「Diamonds Dream of Africa」

という5つ星ラグジュアリーホテルを選択した。


さて、航空券およびホテルは手配できたのだが、あとは細かい移動である。

ナイロビ⇔マサイ・マラの陸路は「ガタガタ路を6時間」と極めて悪性度が高いため、空路を選択した。

その空路であるが、小型セスナ機?、チャーター機?、なかなか正確な情報が得られない。

またナイロビ市内の治安もまた悪性であり、ナイロビのジョモ・ケニヤッタ国際空港から国内線ウィルソン空港

までの移動も必要となる。ナイロビ⇔マリンディもまた然りだ。

これらの個人手配はできないこともないが、道中でミスると相当めんどくさいことになってしまう。。

チビ3人連れで移動中に飛行機に乗り遅れ、夜のナイロビで途方に暮れる、、なんてことは想像もしたくない。

よって今回、これらの手配は「ファイブスタークラブ」さんに依頼することとした。



続いて、疾病対策をうっておかなければならない。

今回の遠征において最も危険かつ起こり得ることといえば、、、ずばり、マラリアである。

蚊に潜むマラリア原虫が吸血によって人体内に侵入し、引き起こされる急性熱性疾患である。

ワクチンはまだない。予防内服という手もあるが、小児・乳児には極力避けたい。

となると、蚊対策が重要となってくるのである。

ハマダラカという蚊がマラリアを媒介するのであるが、こいつはこのように逆立ちして血を吸うのである。

羽が斑(まだら)模様であるため、ハマダラカと呼ばれる

特に夕方から夜にかけて活動するため、寝るときは蚊帳は必須である。。。

防蚊剤としては、、、まずこれ。




その効果のほどはこのとおりである。。


次にチビたちの腕にはこれを巻いておく。




最後はコイツを皮膚に塗っておく、、、





コイツのスゴいところはなんと15%のイカリジンが配合されていることである。

これだけでは何がスゴいのかがわからないヒトが多いと思われるため、少々補足しておこう。。。


蚊除けとして、DEETイカリジンという成分が極めて重要なのであるが、、、

これまで日本では低濃度(DEET:12%以下、イカリジン:5%以下)のものしか販売されてなかったのだ。

これは外国で使用されている濃度の約1/3である。

当然、低濃度では効きが悪く、旅行時に本気で蚊除けしたい場合は現地購入が原則であった。


しかし、2016年に事態は一変する。一昨年のデング熱騒動に懲りた厚生労働省がついに動いたのであった。

https://www.pref.ehime.jp/h25300/tsuuchishuu/seizou/documents/280615-shinsa1.pdf


平たく言えば、2016年6月15日に厚労省が

「高濃度DEETやイカリジンが入った蚊除け剤はソッコーで審査して認可しまっせー」

と通知したのだ。。。言い換えれば、、、

「ソッコーで認可したるから、めっちゃ効く蚊除け剤を作ってちょんまげ」

と各製薬会社にお願いしたのだ。通常では1-2年かかる薬事審査を2ヶ月程度でやるとのこと。

そんな早くできるんやったら最初からやっとけよ。

それからわずか数か月で発売となったのが本製品である。イカリジン15%の意味がわかって頂けたであろうか?


またイカリジンはDEETに比べ皮膚刺激少なく乳児にも安心使えるすぐれものなのだ。(効果はDEETと同等)


ハナシを戻そう。疾病対策である。

マラリア対策はこれで十分であるが、その他の病気を発症した場合に備え、海外旅行保険が必要だ。

一番下のチビを除く4人は去年日本を出る時に「駐在員保険」なるものに入っている。

全ての医療費、損害賠償費など想定される出費はほぼほぼカバーできているのだ。

何か手に負えない事態に陥った場合、医療水準の高い欧州や日本までの緊急搬送費までカバーしてくれる。

それに加え、航空機遅延や手荷物未着、盗難、持ち物の損傷なども対象となるため、なかなか便利なのだ。

しかしながら、一番下のチビはスペイン生まれであるため、スペインの医療保険にしか入っていない。

スペインでの医療費は全てタダなのだが、旅行先での医療費は10%負担となるとのこと。

まず大丈夫だと思うが、何かの間違いでケニアで集中治療室に入り、日本まで輸送しましょう、

なんてことになったら数千万はいきそうだ。10%でもなかなかの金額である。

よって念のため、今回チビも損保ジャパンの保険に入っておいた。


あとは急病時の自分の対応能力次第であるが、、

小生は一般内科、呼吸器、感染症、抗菌化学療法、結核病の指導医・専門医を保有しており、(ちょっと自慢)

大概のことは対応できる自信がある。

各種抗菌薬、抗インフルエンザ薬、解熱鎮痛薬(坐薬も含む)、整腸薬、抗アレルギー薬、気管支拡張薬、

ステロイドなど、一通りは準備しておこう。

ここまで準備できれば、疾病対策は完璧ではないだろうか。。


続いて、持ち物。

サファリには双眼鏡が必須とのこと。この際、いいのを購入しておくか。。双眼鏡と言えば、Nikonかな??

いくつかのサイトで推奨されていた、「Nikon PROSTAFF」を手に入れた。サファリには最適の一品らしい。


そしてカメラの望遠レンズ。本来であれば300mmの望遠レンズと一眼レフカメラが欲しいとこであるが、

数年前に購入したミラーレス一眼、レンズは150mmでガマンしとこう。


前もって準備しておくことは以上だ。

次回からその道中について、報告していく。



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